
アーク溶接中に溶融した金属は大気にさらされると、空気中の成分である窒素や酸素に反応し、気孔(ブローホール)の元となります。そこで溶融金属を大気から遮断し保護するために、トーチ部先端からガスを包み込むように流すことで、内部に気泡が形成されない耐久性のある接合を実現します。この保護するガス流れをシールドガスと呼びます。
従来、困難とされていたアーク発生中のシールドガス挙動の可視化撮影を可能とした光学システムです。ガス層流安定性の可視化撮影を行うことで溶接中にシールドガスが乱れる様を観察することができます。シュリーレン法をベースにした特殊なシステムを構成し、さらに従来のシステム型シュリーレンのシンプルな操作系はそのままに撮影を実現しました。強力なアーク光を消し去りシールドガス効果を実測で可視化することで、ブローホールやスパッタ発生を抑制するにあたってガス流が最適な流量を維持できているかどうか、コスト面も踏まえた最適化をご検討頂けます。
シールドガスを可視化した実写画像01
シールドガスを可視化した実写画像02
シールドガスを可視化した実写画像03
溶接中
シールドガス可視化システム設置
シールドガス可視化システム全体像
過酷な溶接環境でもヒュームやスパッタの影響を受けない安定した撮影が可能な光学システムです。溶接トーチを挟み込むように光学系を設置し高速度カメラにて溶接中のシールドガスを撮影します。観測部の光学系をスライドするだけで観測空間を簡単にセッティング、ロボットアームに抵触する場合はシャフトを外し本体から距離を置き光学系をミラーベースや三脚で設置することで観測空間の拡張が可能になります。
型番 | サイズ(W×D×H) *突起部・反射ミラーを除く |
観測有効径 | 観測空間部(開口時の長さ) | 重量 |
Shield View | 500mm×300mm×319mm | 100mm | 300mm *シャフトを外しミラーベースで 観測空間拡張可能 | 約24kg |
機器構成
*撮影には別途高速度カメラが必要になります。
アーク溶接の可視化評価をする場合は、5000fps~10000fpsの高速度撮影が必要となります。
溶接環境に合ったシールド効果を検証することで、良好なアーク安定性を
保った低スパッタのガス流量を評価できます。
平常時
周辺大気を巻き込む様子
仕上り品質に大きく影響するためシールドガス効果を持続させる必要があります。
電流値やトーチ距離・角度を調整することで加工形状に左右されないシールド安定性を検証できます。
① 電流値が高くスパッタが発生している
② 母材とトーチの距離・角度によりシールド安定性に影響
生産効率を高めようと溶接速度を上げるとシールドガスが流れてしまいます。
可視化することで安定したシールド効果を保持し溶接不良を出さない溶接速度を検証できます。
シールドガスが流れてしまい、大気を巻き込みブローホール発生につながります。
TIG溶接はアルゴンガス流量が品質へ直結します。
溶接環境に合わせた流量調整で、電流値やトーチの距離、角度を最適化。
アルゴンガス量を抑え低コストで、スパッタの発生しない流量の検証が可能です。
多層になると加工点の形状が変化し、シールド効果が不安定になり大気を巻き込みブローホールの原因となります。
溶接中のシールドガスを可視化することで、形状変化に対応したガス流量を評価できます。
隅肉溶接は接合形状でシールドガス効果が変化します。
各種母材形状に合わせた溶接速度・ウィービング速度を検証することで、ガス流量を安定化させスパッタを抑制できます。