水素とは
日本政府は、2050年までにカーボンニュートラル実現を目指し二酸化炭素(Co2)を含めた温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げています。
この切り札として考えられているのが『水素』の活用です。
水素は身近に存在し、地球では海水に多く存在し枯渇する恐れがないと考えられています。
電気を使用した電気分解により、酸素と水素が発生します。
逆に酸素と水素を反応させると電気を生み出します。
発電時に水だけが発生する、二酸化炭素を生まないクリーンな次世代エネルギーとして注目されています。
本サイトでは次世代エネルギーとして注目されている水素の可視化技術をご紹介します。
【脱CO2社会~次世代エネルギー】水素を見える化する ~「シュリーレン法」
次世代のエネルギーとして注目される「水素」をシュリーレン法の技術を使って見える化しました
ノズルから放出される水素の"密度差"をシュリーレン法で画像としてとらえます
撮影にハイスピードカメラを使用した「水素のスーパースロー映像」です。
自動車産業の水素
水素を実用化している例として自動車産業がすでにエネルギーとして利用しています。
燃料電池車(FCV)と呼ばれ、発電装置(水素スタック)で発電した電気をバッテリーに蓄え電気モーターで走行します。
今後は、水素を直接燃焼させる水素エンジンの活用が検討されています。
◇水素エンジンとは--
水素を燃料として運用する内燃機関です。
水素の燃焼反応を運動エネルギーに変換して出力や推力を得ます。二酸化炭素を排出せず環境負荷が低いとされています。
しかし未だ実用化には技術課題が多く、可燃範囲が広く燃焼速度が大きい水素はプレイグニッション(早期着火)やバックファイア(逆火)が発生しやすくなります。
製造・管理コストを考慮すると水素は気体で扱うのが一般的です。
水素ガスを可視化することで効率よく理解する手法が可視化計測です。
水素の可視化解析(PIV)
- 直噴ノズルからの水素挙動をPIV解析(流体解析)
シュリーレン法で可視化された画像は解析(PIV)ができます。
計測エリア内の速度ベクトルを算出し流れ場をデータ化できる画像解析です。
このPIVにシュリーレン法を組み合わせた手法はSIV(Schlieren Image Velocimetry)と呼ばれ、ノズルから噴霧される水素を画面上での速さと方向で可視化解析できます。
異常燃焼を発生させる高温部へのガス流れを、ノズル形状や設置角度別で可視化しデータ化します。
- 直噴ノズルからの速度分布でグラフを描画
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- ■プレイグニッションなど着火コントロールの難しい水素挙動をベクトルマップで表現
- ■角度や方向を解析することでバックファイア現象の制御
- ■エリア内のミキシング状況を判断、燃料直噴制御でNOx(窒素酸化物)の低減
ノズルから任意の距離の速度データを時系列で解析することで、ノズル形状や径、流量制御で最適な噴射速度を評価できます。
対象エリアの輝度分布を解析
- 計測エリア内の輝度分布を疑似カラー化
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ノズルからの噴霧条件で変化する混合状況を判断
- 計測エリア内の輝度分布を疑似カラー化
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- ■噴射からの輝度分布を時系列データ化
- ■計測エリア内の空気との混合効率化
ハイスピードカメラで取得した画像を画像処理することで、計測エリア内の輝度の分布を解析ができます。
ノズルからの噴霧の輝度情報を疑似カラーで表現し、エリア内で噴射された水素ガスの分布を把握できます。
輝度情報の変化は数値化できるので、時系列グラフ化することで混合している状況の変化を評価できます。
またノズル角度や位置、流量による変化を最適化できます。
実測からのデータ取得となりますので、シミュレーションとのバリデーションにもご活用頂けます。