"医療分野向け可視化計測:エビデンスの新たな形"
- マウス血管での赤血球動態の流れを計測
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撮影協力
自治医科大学 分子病態研究部
西村 智 先生 -
医療分野では次々と新しい技術の開発や検証結果が示されており、それらには必ずエビデンスを求められます。
その一環として、医療・医用工学分野では「可視化技術」への関心が急速に高まっています。
ウイルス感染症の研究では、エアロゾルや飛沫(微小な液滴)の飛散状況の可視化が重要となっています。
また、循環器や血液に関する研究では、動脈瘤や人工血管の血流計測に可視化技術が活用されています。
さらに、再生医療ではバイオリアクター(生物学的反応を行う装置)内の培地流動検証、外科治療ではHIFU(高密度焦点式超音波)による集束超音波の疎密波可視化など、医療界の各分野で我々の可視化技術が取り入れられています。
このページでは、弊社の可視化技術がもたらす実績と効果について、具体的な事例を中心に紹介します。
各疾患領域での可視化計測:実績と効果
経口内視検査時のエアロゾル挙動の可視化
"感染症対策:エアロゾル可視化技術で医療従事者を守る"
感染症の拡大について、国や厚労省の方針に基づき、消化器内視鏡診療の対応が求められています。
患者の咳やくしゃみからエアロゾルが発生する可能性があるため、弊社はエアロゾル可視化技術を提供し、医療従事者のリスクを軽減します。
患者の咳やくしゃみからエアロゾルが発生する可能性があるため、弊社はエアロゾル可視化技術を提供し、医療従事者のリスクを軽減します。
- 経口内視検査時の飛沫感染防止のためのアクリルボックス
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内視鏡検査を行う際、内視鏡医と助手を保護するためのアクリルボックスの有無によるエアロゾル挙動の可視化を実施しました。
- アクリルボックス
- ボックス内で内視鏡検査を行う
- 嘔吐反射時の微粒子飛散を可視化
*A novel endoscopic shield: a barrier device to minimize virus transmission during endoscopy.*
Ueyama H, Akazawa Y, Fujisawa T, Isayama H, Nagahara A.
Endoscopy. 2022. 54(4):E129-E130.
https://www.thieme-connect.de/products/ejournals/abstract/10.1055/a-1695-3080*著者:順天堂大学 医学部 上山 浩也 先生*
患者から吐出される飛沫を再現するため、飛沫発生器を用いて風速10m(咳の再現速度)で水滴を飛ばし、咳の挙動を再現して検証しています。
嚥下造影検査(VF)におけるX線画像での運動解析(モーションキャプチャー)
"嚥下障害の解析:運動解析ソフトウェアで定量化"嚥下障害は生命維持にとても重要な機能であり、食物を飲み込むだけではなく、誤嚥の原因や呼吸機能の低下などにも関係しています。
弊社では、嚥下時の舌骨や嚥下関連筋群、食塊の動きなどを、嚥下造影検査(VF)のX線透視動画から運動解析ソフトウェアで処理し、定量化を図ることができるツールを提案しています。X線画像による舌骨の動き嚥下時の運動解析
この動きを解析することで嚥下動態を定量的に評価できます。
運動解析というアプローチにより、個々の患者の状態をより正確に理解し、適切な治療方法を選択する一助となります。
また、進行性の疾患の初期診断にも寄与し、早期治療の可能性を広げることが期待できます。
細胞培養時の攪拌性能評価(PIV:Particle Image Velocimetry)
"細胞培養の最適化:PIV技術の活用"細胞の成長に影響を及ぼす酸素供給不足や強い剪断力のストレスを防ぐためには、槽内の流れが低乱流で滞留がないことが重要です。
弊社のPIV技術では、計算通りの流動が実現されているかを数値で確認することができます。- シャーレ(培養攪拌)
- PIVで算出された速度ベクトル
PIVは画像から非接触で粒子の運動を計測できます。
映像では、PIV計測を行い速度ベクトルを算出してベクトルマップをプロットしています。
このことから、PIVによって攪拌の性能を定量的に評価することができます。
使用機材:PIVシステム2D2C
超音波(エコー)検査による筋肉の「ひずみ」を計測(DIC:Digital Image Correlation)
"筋肉の「ひずみ」を可視化:デジタル画像相関法(DIC)の新たな応用"エコー検査(超音波診断)を活用し、人間の手首の筋肉の動きを精密に撮影しました。
手の開閉動作中の筋肉の変化を捉え、デジタル画像相関法(DIC)を用いて、筋肉の「ひずみ」を計測しました。- 手首のエコー検査
- エコー画像からひずみを算出
DICとエコー画像:医療分野の新たな可能性
撮影協力
東海大学 工学部 医工学科
菊川 久夫 先生この動画では、エコー画像からデジタル画像相関法(DIC)を用いてひずみを算出するという、
医療分野における新しい計測手法をご紹介します。
この手法は、物理的な変化をより正確に捉え、微細な変動を視覚化することが可能になります。
これにより、病状の診断や治療の進行度をより精密に評価することが可能になります。
動画では2つの実験をご紹介します。
一つ目の実験では、エコー検査を用いて人間の頸動脈の横断面を撮影し、そのひずみを計測。
二つ目の実験では、手首の動きを撮影し、そのひずみを計測します。
医療分野に向けて、新たな視点を提供し、より高度な研究や診断技術の開発に向けた一歩となることを願います。歯科治療中のミストを可視化
"歯科治療中のミスト飛散:その可視化と感染防止への取り組み"歯科治療中に飛散するミストの可視化実験を行いました。
エアータービンで歯を削る際に発生するこのミストは、医療従事者に感染リスクをもたらします。
飛散するミストは通常、バキュームを使用してミストを吸引していきます。
ミスト自体を可視化することでバキューム吸引効果を評価します。- 歯科治療の環境
- 医療用マネキンとバキューム
- 飛散するミストを可視化
撮影協力実際の治療環境を再現するため、医療用マネキンを使用しました。
藤田医科大学 医学部歯科・口腔外科講座
小林 義和 先生
金 珉廷 先生
口腔内バキュームのみ、口腔外バキュームのみ、両方を使用した場合の3つの条件で、吸引効果を評価しました。
可視化実験を行うことで、具体的な改善策の策定や感染防止への取り組みが可能となります。
医療分野への可視化計測 関連製品
微粒子可視化システム微粒子可視化システム現場での運用効率を極めた清浄空間での異物対策システム飛沫・エアロゾル可視化撮影システムコロナウイルスの感染リスク対策など飛沫関連の可視化評価にPIVシステム2D2C
PIVシステム2D2C高速度カメラによる時系列評価用の流体解析の基本システムDIC Dipp-StrainDIC Dipp-Strain画像からひずみを計測できるデジタル画像相関法(DIC)ソフト