カトウ光研株式会社

メルトブロー法による紡糸工程の可視化計測

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メルトブローとは

メルトブロー_マスク
メルトブロー_不織布生地
材料となる樹脂チップを溶かしつつ押し出して、ノズルから高速の熱噴流によって糸状の材料を吹き飛ばし、極細の繊維を形成する不織布生成の技術の一つです。
マスクなどで用いられる不織布は、このメルトブロー法により文字通り織らずに繊維を絡み合わせることで製造します。

原料を目的に応じて組み合わせられるので、強度を求める場合はアラミドやガラス、
衣料やマスク向けにはポリエステルやポリプロピレンを用いて製造されます。

このメルトブロー法を初めとする不織布製造は、高性能なフィルターを作る上では切り離せない技術となっており、
医療・衛生材料だけでなく、エアエレメントや防音材、防塵フィルターやろ過フィルター、リチウムイオン電池セパレーターなど工業目的でも非常に多くの用途で用いられます。

そのため、より高い捕集効率や圧力損失の低下を目指したり、より長寿命化が課題として求められています。

溶融した材料が高速エアにより延伸される様子(ハイスピード撮影)

高速高温のガスにより糸状の繊維を延伸し、他の製造方法では作れない非常に細い繊維で構成される不織布を作れます。

その繊維径はおよそ1μm~30μmの範囲で形成され、ノズルから吹き出る熱噴流や冷却気流を制御することにより、用途に応じた繊維径で製造したり生産性を高めたりすることができます。

500ナノを下回る極細繊維の生成などにも取り組まれております。
繊維同士が溶着し合うことで編む必要がないことも特徴です。

メルトブローを可視化してPIV計測する

当社ではメルトブローの可視化撮影と流体解析の画像計測(PIV)技術で、紡糸条件を変更した際に製造プロセスがどう変化するか?
実際の現象を定量評価することができます。


繊維由来の輝度情報からパターンマッチングを行い、紡糸工程での速度分布が分かります。
また、気流をトレーサー粒子を用いて可視化計測することでノズルからの気流がどのような構造になっているか?
計測することが可能です。


シミュレーションで算出した製造工程が計算通りとなっているか、実測で評価することができる唯一の手法になります。

紡糸プロセスのPIV計測(速度ベクトルを算出)

ノズルから噴霧される高速の気流により溶融した繊維材料が吹き飛ばされています。
この工程により生産性を高めるのか?より細い繊維径で形成するのか?耐久性を求めるか?微粒化させるか?
など用途に応じた流体制御を行います。


ノズル近傍の気流速度は100m/sを超えることもあり、シミュレーション結果に対して実際の流れがどうなっているか?
気流環境を最適化するには実測と計算の双方が必須となります。
瞬時速度ベクトル
平均速度ベクトル
メルトブロー_平均ベクトル
時系列平均速度マップ(速度UV)
メルトブロー_時系列平均速度マップ(速度UV)

紡糸プロセスだけではなく気流環境を可視化 ▶PIV計測

ノズル近傍域になるほど気流は速くなりますが、不織布繊維を延伸する箇所をどこに設定するか見極めが重要になります。
そもそもノズル近傍域が期待している流速を出しているか?また乱れはどの程度発生しているのか?時系列での速度変動はどの程度起こっているか?
など確実な検証を行う必要があります。

煙の粒子に対して繊維材料は追随性がそこまで高くないため気流中に材料を投入した後は徐々に加速していく挙動となります。
対して気流を高速に維持している段階で材料を投入した場合は、気流と同様に高速で吐出され速度が低下されている挙動となります。
瞬時速度ベクトル
平均速度ベクトル
メルトブロー_気流PIV平均速度ベクトル
時系列平均速度マップ(速度UV)
メルトブロー_気流PIV時系列平均速度マップ

高速気流中の繊維を可視化 ▶PIV計測

瞬時速度ベクトル
平均速度ベクトル
メルトブロー_高速気流中の繊維平均ベクトル
時系列平均速度マップ(速度UV)
メルトブロー_高速気流中の繊維時系列平均速度マップ(速度UV)
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