カトウ光研株式会社

PIVとは

HOME可視化技術の見える化 > PIVとは
レンタル カタログダウンロード 可視化事例集 製品ページへ 計算サイト
PIVシステムキャンペーン-バナー

流速の計測

以前から流体の流れの速さを測定する方法としてはピトー管や熱線流速計がありますが、ピトー管は管端部の圧力と流体密度から、熱線流速計は熱線表面熱流束から速度を求めます。いずれも別の物理量から速度を導く方法であるのに対して、後述のPIVはトレーサ粒子の変位から速度を直接得るのでシンプルな原理となっています。

またレーザドップラー流速計(LDV, Laser Doppler velocimeter)は、トレーサ粒子にレーザ光を照射し粒子からの散乱光の周波数がドップラー効果によりわずかに変化します。その周波数の変化量が粒子速度に比例することを利用して流速を測定します。高い空間分解能で超低速から超高速まで計測でき校正を取る必要がありませんが、トレーサ粒子が必須であり、濃度が希薄な場合は連続した計測ができず不規則になります。また光の通らない部分は計測ができません。

その他の流速計としては、流れの中に置かれた翼車の回転数が流速に比例することを利用した翼車流速計は、比較的大きな水路や野外での流速測定に用いられます。流体を受ける翼車の形からプロペラ形とカップ形に大別されます。超音波流速計は隔てられた2点間を超音波が伝播する速度が、その間の流体の速度に依存することを利用したもので、主に大気の速度計測に用いられます。超音波ドップラー流速計は流れに追従する粒子に超音波を照射し、その反射波の周波数が粒子速度に応じたドップラー変位を伴うことを利用したもので、不透明な液体を非接触で計測できることが特徴です。

円管内乱流のPIV
粒子画像提供:明治大学 榊原教授
円管内の液相をPIV解析した実例です。
詳細な実験条件も動画内で紹介しています。ぜひご参考ください。

使用機材

PIVとは

粒子画像流速測定法(Particle Image Velocimetry, PIV)は、流れ場における多点の瞬時速度を非接触で得ることができる流体計測法です。流体に追従する粒子にレーザシートを照射し可視化、これをカメラで撮影しフレーム間の微小時間Δtにおける粒子の変位ベクトルΔxを画像処理により求め、流体の局所速度ベクトル v≅Δx/Δtを算出します(図1)。流れ場の空間的な構造を把握することができるため、代表的な流体計測法として浸透してきています。

PIVの欠点として、計測対象の流れ場にトレーサーとなる粒子が混入出来なければ計測が不可能になります。また、PIVのダイナミックレンジ自体がそれほど広くなく、流速の速い所と遅い所での差が大きい場合には計測精度に誤差が生じる可能性があります。従来の1点計測と異なり、多点同時計測ができるPIVならではの欠点ですが、計測を対象ごとに分けることでこの問題を解決することが出来ます。

PIVの手法には、カメラ2台を用いて速度3成分の2次元分布を計測するステレオPIV(図2)や、高速度カメラと高繰り返しパルスレーザを用いた高時間分解能PIVなどもあります。

PIV2次元2成分
(図1) PIV 2次元2成分
ステレオPIV2次元3成分
(図2) ステレオPIV 2次元3成分

PIVで流れを測定するメリット

非接触で流れを測定できる

PIVのメリットは非接触で流体の速度を測定できることです。
これは流体中に粒子を散布し、レーザーシート光を用いて粒子の動きを捉えることで、流れに触れることなく速度情報を取得できるという意味になります。
非接触で測定できる利点は、測定対象の流れに対して物理的な影響を与えないので、自然な状態の流れを対象とすることができます。

特に微細な流れ構造や乱流の研究において重要な要素となります。
また高温や高圧、有毒や腐食性のある流体など、接触で計測を行う流速計では困難な環境下でも、適用可能であるため幅広い研究分野において利用ができます。

高い時間分解能で測定できる

PIVではハイスピードカメラを使用して粒子の動きを捉えることで、短い時間間隔で多くの画像を撮影することができます。
そのため瞬時の速度データを大量に取得することが可能になります。
これにより、流れの変化を細かく捉えることができ、時間的に解像度が高いデータが得られます。

この高い時間分解能は、乱流のような複雑で急速に変化する現象を研究する際に非常に有益です。
乱流は不規則で短い時間スケールの変動が多く、十分な解像度で測定することが困難です。
しかし、PIVによって高い時間分解能で速度データを取得できるため、乱流の微細な構造やダイナミクスを正確に分析することが可能になります。

速度場を測定できる

PIVでは、流体中の広範囲な速度場を同時に測定することができます。
これにより、流れ全体の様子を把握することができ、局所的な特徴も詳細に調べることが可能です。

広範囲な速度場を同時に測定できる特長は、さまざまな応用研究に役立ちます。
例えば、航空機を対象とした空気力学において、PIVを用いて翼周りの流れや胴体周りの流れを高い空間分解能で観測できます。
このことから、抗力の低減や効率の向上を図ることができる設計の検討が可能となります。

流れの特性を把握できる

PIVでは得られた速度データからポスト処理により、さまざまな流れの特性(例:渦度、レイノルズ応力、乱流エネルギーなど)を計算できます。
これにより、研究者は流れのダイナミクスやエネルギー伝達、物質輸送などの現象を理解し、より効率的な技術開発につなげることができます。

PIVで測定できる主な項目

瞬時速度ベクトル

瞬時速度ベクトルは流体中の粒子の速さと方向を、ある瞬間において表す量です。
連続した2枚の画像から粒子の移動距離と時間をもとに、ある瞬間における流体の動きを示すベクトルです。

平均速度ベクトル

一定の期間に渡って測定された瞬時速度ベクトルの平均値です。
流れの時間的な変動を考慮して、その期間における流れの代表的な速さと方向を表すベクトルです。

渦度

渦度は流れの回転性を表す量で、流体の回転運動の強さを評価するために使用されます。
PIVで得られた速度ベクトルから渦度を求めることができます。
渦度が高い場所では、流れの複雑さや渦の生成が起こりやすくなります。

渦度が分かると流れの安定性、乱流の発生メカニズム、渦と流れの相互作用など、流体の特性について研究することができます。
そのことから航空機の空気力学や水流の制御、環境工学などの様々な工学分野で活用されています。

レイノルズ応力

乱流における流体粒子の速度変動によって生じる応力成分を表す物理量です。
乱流は不規則な速度変動を伴うため、流れの構造に応力が発生します。
ここで発生した応力は流体の運動に影響を与え、エネルギー伝達や渦生成、物質輸送などの現象に関与しています。

レイノルズ応力は、乱流の特性やエネルギー伝達メカニズム、流れの安定性などを理解する上で重要です。
PIVを用いてレイノルズ応力を正確に計算し、乱流現象の解析に役立てることができます。

乱流エネルギー

乱流における速度変動のエネルギーを表します。
乱れの強度や流れの特性を評価する上で重要なパラメータです。

乱流エネルギーを求めることで、流れ中でのエネルギー伝達や散逸のメカニズムの理解に役立ちます。
このことは、乱流の制御やエネルギー効率の向上につながります。

また数値シミュレーションや理論モデルの検証・改善に役立ち、より正確な予測や解析につながります。

PIV の計測事例

カルマン渦のPIV 計測(流体シミュレーション+CG でカルマン渦を再現)

流体シミュレーションとCGを使って、障害物の後方でカルマン渦を発生させています(レイノルズ数 Re=105を想定) CGの流体にトレーサー粒子を追従させて、PIV計測を行いました。
粒子の移動量から瞬時速度を算出し、渦度・速度分布を表示させています。

PIV計測に使用したソフトウェアはこちら


カルマン渦について…
カルマン渦の説明

圧縮性が無く一様な流れ場で障害物を配置します。このとき障害物(円柱)後方の流れはレイノルズ数によってふるまいが決まってきます。
流れが遅くレイノルズ数が小さい(Re=10程度)ときには渦は発生しません。
だんだんと流速が速くなる(レイノルズ数が大きくなる)につれて「双子渦」→「カルマン渦」へとふるまいが変化していきます。渦は反時計回り、時計回りに交互に出現していきます。カルマン渦は私たちの身近な所でも多く発生していて、規則的に交互に出現する渦によって旗がバタバタとなびいたり、野球でのナックルボール、サッカーの無回転シュートでボールを揺らしたりしています。



円柱後方の流れ(PIV とシミュレーション結果の比較)

粒子法の一つSPH (Smoothed Particle Hydrodynamics)法にて同じ条件を再現してPIVの算出結果と比較してみました。流体現象の研究では、まずCFD(Computer Fluid Dynamics)により算出された計算結果に対して、「実際の流れではどうなのか?」という問いが付随します。それに対して、再現実験で実測を算出し結果と傾向を比較し証明することが、PIVの主な用途としてあります。

PIV計測の再現実験に使用した機材はこちら
   ◇レーザーシート光源:   PIV Laser KLDシリーズ

   ◇ハイスピードカメラ:   Phantom VEO1310

   ◇PIVソフトウェア:      Flow Expert2D2C


コアンダ効果をPIVで検証

コアンダ効果の検証実験として、円柱に煙(トレーサー粒子)を吹き付けます。
レーザーシート光源を用いて可視化を行い、ハイスピードカメラで撮影しました。
撮影した映像を対象にPIVで計測して、瞬時速度ベクトル・流線を算出しています。
PIVを行うことで、流体が円柱に沿って曲げられている様子を捉え、コアンダ効果の働きを分析することができます。

PIV計測に使用した機材はこちら
   ◇レーザーシート光源:   PIV Laser KLDシリーズ

   ◇ハイスピードカメラ:   Phantom VEO1310

   ◇PIVソフト:      Flow Expert2D2C
PIVとは_コアンダ効果の図

コアンダ効果とは、流体(液体や気体)が曲がった表面に沿って流れる現象のことを指します。
この現象は、流体の粘性が密接に関係しています。流体が曲がった表面に触れると、
粘性の効果で周りの流体を引き込み、結果として流体がその表面に引き寄せられる力が働きます。
コアンダ効果は、さまざまな工学分野や応用技術で利用されており、航空機、自動車、空調システムなど多くの分野で応用されています。
航空機の翼では、コアンダ効果を利用して揚力を向上させることができます。
翼の上部の表面が湾曲しているため、空気が翼の上部に沿って流れる際にコアンダ効果が働きます。
自動車業界でも、コアンダ効果は空気抵抗の低減やダウンフォースの生成に利用されています。
車体の形状が工夫されていることで、空気がスムーズに流れるようになり、
燃費向上や安定した走行性能が実現されています。

これらの例からも分かるように、
コアンダ効果は私たちの身の回りの多くの技術や製品に役立っています。

画像処理計測(相関法とPTV)

歴史的にみると、画像処理による計測技術としては、まず自己相関法が使われるようになりました。1枚の画像中に2時刻の粒子像を二重露光により撮影します。次に画像中に検査領域を設定し、その領域中の輝度分布の二次元自己相関関数を求めて粒子間距離を求める方法です。この方法は変位が小さい場合に二時刻の粒子像が重なってしまい計測ができないことや、流れの向きが判別できないことが大きな欠点としてあり、あまり使われなくなりました。 それに対し、相互相関法は連続した二枚の画像にそれぞれ露光した上で検査領域の輝度分布の二次元相互相関関数から粒子変位を求めます。カメラの高速化、高解像度化に伴い、今日のPIVはこの型が主流となっております。

また、粒子追跡法(Particle Tracking Velocimetry, PTV)は、単一の粒子を追跡するラグラジアン的な計測手法です。粒子一つ分が空間的な解像度となるため、微小スケールの乱れを捉えることが可能です。そのため、壁面近傍などせん断の大きい場所の計測に用いられます。同時に追跡する粒子数が増えると二時刻間の粒子の対応付けが困難になるため粒子数をあまり多くできない点と、計測点を格子状にするには補間が必要になる点に注意が必要となります。

相互相関法PIVのアルゴリズム

相互相関法PIVでは、時間的に連続した2画像を得た上で、その1時刻目の画像における微小な領域(検査領域、通常32x32画素程度)内の輝度値分布と2時刻目の画像における領域(探査領域)内の輝度値分布(a)との相互相関関数を求め、その最大値となる変位を検査領域内の粒子群の平均変位ベクトルとして推定します(b)。ここで、相関関数の最大値は常に真の変位に対応するとは限りません。これは検査領域内の粒子が少ない場合や、レーザシート内外への粒子の出入りなどにより、対応する粒子が消失、またはせん断によって粒子パタンが変化することなどに起因します。そこで、画面全体の相関係数分布を探した後に、各計測点の周囲の変位ベクトルの平均あるいはメディアンに最も近い相関係数極大値(最大値とは限らない)を計測点の新しい変位ベクトルとして置き換える方法が採られます。相互相関関数は直接相互相関またはFFTを用いて計算されますが、前者は探査領域を自由に設定でき、計算負荷は高くなります。後者は計算負荷が低いですが、検査領域と探査領域の大きさが等しく、片方が周期境界を有するように演算されるため、移動量が大きくなると対応する粒子が消失し、測定精度が低下します。これを避けるために、相関演算において得られた変位分だけ探査領域を移動し、再度相関演算を行うwindow offsetが用いられます。さらに、検査領域と探査領域を計測点に対して対称に移動すれば、変位が中心差分として求められるので、速度が二次精度で計算できるようになります。FFTを用いる利点は直接相互相関に比較して演算が高速であることですが、両者が同一の結果を得るためには、FFTの検査領域を直接相互相関のそれよりも大きく取り周囲をゼロで埋める「ゼロパディング」を行う必要があるため、必ずしも高速とはなりません。さらに、単純な繰り返し演算を得意とするGPU やCPUのSIMD命令セットを用いる場合には、メモリアクセスが煩雑なFFTよりも、演算が単純な直接相互相関の方が効率的に計算できます。従来では欧米を中心にFFTが使われることが多かったですが、近年では直接相互相関法が日本国内も含めPIVソフトに組み込まれていることが主流となっています。

PIV_相互相関法
(a)
PIV_相互相関関数のグラフ
(b)
PIV_検査領域の大きさと相関係数の分布

相互相関関数は粒子画像と同様に空間的に離散化されているため、求められる変位ベクトルは±0.5画素の誤差を伴います。そこで、離散化された相関関数に二次元正規分布を内挿して連続関数とした上で変位ベクトルを求めることで、誤差を0.1画素程度に減少させる手法(サブピクセル補間)がとられます。ただし、粒子像の大きさが約2画素を下回るときには真の変位量と推定される変位量の関係が線形にならず、粒子移動量の確率密度関数が整数移動量近傍で高くなり偏りが生じますので(ピークロッキング)、粒子像の大きさには十分注意する必要があります。

PIV_ピークロッキングの説明

解像度の違いによるPIV計測への影響

PIVでは撮影条件をどのようにすれば精度が保たれるのか、各コンポーネントで構成のバランスを考える必要があるため、カメラのどのようなスペックを重視するべきか、判断が難しいことが往々にしてあります。

基本的には非常に小さな粒子を可視化撮影するために、高感度であることは非常に重要です。
それ以外にも、どの程度の解像度で撮影すればいいか、悩まれる方も多く、よく質問を頂きます。
そこで同じカメラで解像度のみを変えて、撮像にどの程度の影響するか検証しました。
同条件で解像度の違いによる粒子数の違い
200mm角の水槽を同じカメラで解像度だけ変えて撮影しました。
トレーサ粒子は数十μ程度のイオン交換樹脂を使っています。

画面左側は1920×1080(フルハイビジョン)、右側は640×480(VGAサイズ)となります。
使用したカメラは高解像度ながら高感度の性能を併せ持つPhantom Miro C321です。
同じ現象を撮影しているにもかかわらず可視化された粒子の数が大きく異なります。

PIVでは感度が非常に重要となりますが、どのくらいの空間分解能で撮影するかも、重要なパラメーターです。
高解像度タイプのハイスピードカメラは、高速度タイプと比較すると感度は大きく落ち込みますので、今回撮影に使用したC321というモデルは、高感度タイプと同等の明るさを持つ高解像度カメラなので、より微細な流れを評価することに最適な製品となっています。
PIVとは_C321
Phantom Miro C321

高精度化・高解像度化のための種々の方法

流れのせん断により検査領域の粒子パタンに対して探査領域の粒子パタンが歪み、相関係数分布に明瞭なピークが現れない場合があります。例えば、相関係数極大部分の幅はせん断率が大きいほど広がり、極大値の位置検出精度は低下します。その解決方法としてCorrelation-Based Correction(CBC)が挙げられます。これは、計測点の近傍に互いに1/4程度重なり合う2つの検査領域を設け、それぞれの相関係数分布を求めた後、両者を乗算します。その結果、双方の同じ場所にあるピークは大きくなり、他のノイズピークは小さくなることでS/N比が上がります。また、極大部分はせん断の大きさによらず狭く、結果として計測精度が向上します。

検査領域は有限な大きさであるため、その大きさよりも小さな渦運動を解像することはできません。例えば、空間方向に正弦波的に変動する流れが存在する場合に、計測される空間振幅が真の振幅の90%となる検査領域サイズは流れの変動波長の1/4程度であり、それ以下の波長の振幅はより過小に計測されます。これは速度計測の精度を低下させる重大な要因であるとともに、渦度や速度勾配テンソルなどの空間微分量を求める際にも大きな誤差要因となり得ます。空間解像度を向上させるには、検査領域サイズを小さくすれば可能ですが、安易な検査領域サイズの減少は相関係数分布のS/N比を低下させ、正しい粒子対応付けを困難にします。そこで、再帰的相関法(Recursive PIV)が提案されました。これは、32x32画素程度の検査領域で変位ベクトル分布を算出したのち、検査領域サイズを半分程度に減少させて再度変位ベクトル分布を求めます。このとき、2回目の処理の探査領域は初回に得られた変位ベクトルに従って小さくすることが可能であり、前述のCBCとの併用で粒子の誤った対応付けを相当減らすことができます。

PIV_再帰的相関法

また,検査領域と探査領域の間の粒子像の変形を無くすために、検査領域の粒子像を変形させて相関関数を求める方法もよく用いられます。画像全体の変位ベクトルを算出した後に、そのベクトル分布から局所的な歪みテンソルを求め、それに従って検査領域を変形して再度変位ベクトルを算出します。これを繰り返すことでせん断の大きな流れも精度良く計測することが可能となります。前述の再帰的相関法と組み合わせて検査領域サイズを小さくしていけば空間解像度の向上も期待できます。

局所的な変形ではなく、画像全体を変形する方法(反復画像変形法(Window deformation iterative multigrid:WIDIM)※旧名称:全画像変形法)も考案されています。例えば、第1時刻の画像を、初回に得られた変位ベクトル分布に従って局所的かつ全域的に変形して再度変位ベクトルを求めます。この操作を、変形された第1時刻の画像と元のままである第2時刻の画像が同一の画像になるまで、すなわち変位ベクトルがゼロになるまで繰り返せば、画像の変形量から直接粒子の変位が求められます。しかしながら、この方法は繰り返し計算の途中で発生したエラーが伝播・増大する可能性があります。これを避けるため、各回の変位ベクトル分布を検査領域内で平均し、収束性を高める工夫が必要となります。

PIV_反復画像変形法

検査領域サイズを究極的に小さくする場合には相関係数分布をアンサンブル平均する方法が採られます(アンサンブル相関法Ensemble Correlation)。検査領域サイズが小さくなると相関係数分布にノイズが増えますが、多時刻の画像から得られた多数の相関係数分布をアンサンブル平均すればランダムノイズは消失し極大ピークのみが得られます。流れが層流であれば極めて高い解像度で速度分布を計測することができるようになります。乱流の場合には速度変動により平均相関係数分布の極大が広がると共に、速度確率密度分布の偏りに伴って非対称になり得るため、相関係数最大値位置が速度の平均値に一致することは保証されなくなります。


『高機能流体解析ソフトFlowExpert』については上述の高精度化・高解像度化のための様々なアルゴリズムを搭載した実用的なソフトウェアとなっております。PIV解析については、トレーサ粒子、カメラ、レーザシート光源などを用いて画像処理に適した粒子画像を取得することから始まります。各コンポーネントをお客様のご要望に合わせ最適な計測システムを構成しご案内させて頂いております。計測対象の流れ場に適したアルゴリズムであるか、測定精度や解像度は十分であるかなど、弊社スタッフまでお気軽にお尋ねください。


PIVについて詳しく解説された専門書をご希望の方は、下記リンク先をご覧ください。


PIVハンドブック森北出版株式会社 様 『PIVハンドブック(第2版)』可視化情報学会(編)

関連製品

PIV Laser KLDシリーズPIV Laser KLDシリーズ
PIV Laser KLDシリーズ-関連製品
固体レーザーの不確かさを克服したPIV用高安定性半導体レーザー光源
PIVソフト Flow Expert2D2C
PIVソフト Flow Expert2D2C
PIVソフトFlow Expert2D2C-関連製品
超高速演算と直感操作のUIを実現した高精度流体解析ソフト
PIV Laser GシリーズPIV Laser Gシリーズr
PIV Laser Gシリーズ-関連製品
水流や気流などの流れ場を可視化する流体評価の基本ツール
ハイスピードカメラk5 ハイスピードカメラk5
ハイスピードカメラk5-関連製品
高速流体に対応した撮影速度を誇る超高感度USBモデル
カタログダウンロード