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シュリーレン法とは

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シュリーレン法とは?

シュリーレン法-可視化事例


シュリーレン法とは透明体の中に屈折率のわずかに異なる部分があるとき、光線の進行方向の変化を利用してその部分が明確に見えるようにする光学的手法です。
媒質中を伝播する超音波や衝撃波の進行状況や、炎による気流の上昇、光学レンズの欠陥などを観察することができます。

密度構造を評価するには最適な可視化手法ですが、流れを定量的に評価・計測するというところではトレーサーを用いるPIV計測が適しています。
対してトレーサー粒子の追随性が確保できない高速現象の可視化評価では、シュリーレンは極めて有効になります。

シュリーレン法の原理

シュリーレン法-原理図
溶接シールドガスの可視化事例


シュリーレン法では透明な気体、液体及び固体中の不均質状態が密度勾配として、通過光が曲げられます。
このわずかな屈折率の変化を、平行度の高い光により大きな明暗の差に変えて観測する手法です。

観測空間を通過して屈折した光を集束させ、ナイフエッジ部で主光束をカットし、
被写体で屈折・散乱した光のみを透過させて像を作ります。
そのため、ナイフエッジを用いないシャドウグラフ(2次微分)は密度勾配の変化を表すのに対し、
シュリーレン(1次微分)は密度勾配そのものを撮影できます。
流体の可視化手法としては、PIVなどと異なりマーカーとなる粒子などを散布せずに可視化できますので、
追随性を考慮しないで済む方式となります。

シュリーレン法の歴史と発展

上述の通り、ナイフエッジを用いて主光束をカットすることが、シュリーレンとシャドウグラフの主な違いの部分になり、シャドウグラフの光学配置の方がシンプルな構造です。
そのため、光学手法として確立された時期についても、シュリーレンよりシャドウグラフが先になりました。
諸説ありますが、2つの手法の発生と歴史的な歩みは下記の通りです。

シャドウグラフ法の起源

シャドウグラフ法を最初に科学的に実証したのはイギリスの科学者であるロバート・フック[Robert Hooke (1635 – 1703)]でした。
ろうそくを光源として用いて実験し観測空間に置かれた別のろうそくにより暖められた空気の上昇を観察したと言われています。

また、フランス革命でも知られている科学者ジャン=ポール・マラー[Jean-Paul Marat (1743 – 1793)]は火炎の研究に用いたとされています。
当時、火は物質的な要素であると広く考えられていましたが、彼は高温の流体現象であることを実証するためにシャドウグラフを用いた実験を行いました。

シュリーレン法の起源

ナイフエッジを用いたシュリーレン法を初めて考え出したのはフランスの物理学者レオン・フーコー[Jean Bernard Léon Foucault(1819 – 1868)]と言われています。
望遠鏡に用いられるレンズ、ミラー、その他の光学部品の検査用として1859年に発明しました。
現在知られているような、いわゆる流体の可視化実験用途にシュリーレンを用いたのはドイツの物理学者アウグスト・ヨーゼフ・イグナツ・トープラー[August Joseph Ignaz Toepler(1836 – 1912)]です。流体の流れと衝撃波の検証に応用しました。

また、シュリーレンを用いた実験で一番有名なものは、1887年にオーストリアの物理学者エルンスト・ヴァルトフリート・ヨーゼフ・ヴェンツェル・マッハ[Ernst Waldfried Josef Wenzel Mach (1838 – 1916)] が撮影した、飛翔する弾丸の衝撃波を可視化した歴史的な写真です。
弾丸が音速よりも速く動いた際に発生した、目に見えない衝撃波を鮮明に撮影することに成功しました。 現代とは異なり高速度カメラやパルス照明が無い時代に、音速を超える現象を撮影することは筆舌に尽くしがたい困難を伴うものであったと思われます。

シュリーレン法を行うための装置 概略図

シュリーレン法とは-凹面鏡
シュリーレン法-凹面鏡2面対向方式
シュリーレン法とは-レンズ式
シュリーレン法-レンズ式

シュリーレン法は点光源の光を光学系により平行光束とし、観測空間を通過させた後に再び光束を集束させます。
その焦点を結ぶ箇所をナイフエッジで遮ります。

観測空間に屈折率のムラがあると光が歪み焦点がずれますので、ナイフエッジで遮られたムラは影として画像に表示されます。
これにより被測定物の密度分布が明暗のコントラストとして観測できます。


ナイフエッジを用いない場合は光学配置が簡易なシャドウグラフの撮影となりますが、可視化の感度ではシュリーレンが圧倒的に優れています。

シュリーレン法の可視化事例

斜め衝撃波の反射形態を可視化【シュリーレン法~ノイマン・パラドクス】
撮影強力:豊田工業高等専門学校 機械工学科 小谷 明 先生
超音速で伝播する衝撃波をシュリーレン法で可視化しました。
衝撃波は通常目に見えない波ですが、光学的な可視化手法であるシュリーレン法であれば観測することができます。
実験装置で発生させた衝撃波をオブジェクトに衝突させ、反射する様子をとらえています。
【脱CO2社会~次世代エネルギー】水素を見える化する ~「シュリーレン法」
次世代のエネルギーとして注目される「水素」をシュリーレン法の技術を使って見える化しました
ノズルから放出される水素の"密度差"をシュリーレン法で画像としてとらえます
撮影にハイスピードカメラを使用した「水素のスーパースロー映像」です。
【キャビテーション】秒速1650m 圧力波の可視化実験【シュリーレン法】 撮影協力:JAXA 坂本 勇樹 先生
キャビテーション気泡が崩壊する時に発生する圧力波を可視化しました。
可視化には「シュリーレン法」を用いて
圧力波(衝撃波)が伝播する様子を鮮明にとらえています。
ShieldViewレーザー溶接シールドガス可視化解析
レーザー溶接中でサイドノズルからのアシストガス、
ヒュームの様子を可視化しています。

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