高速度2色式熱画像計測システム「Thermera-HS」は、燃焼現象や金属溶融などの高温帯の温度解析が”放射率補正なし”で行えるシステムです。2色法アルゴリズムを用いて温度算出するため、放射率の影響を限りなく小さくし、補正をすることなく高精度な2次元温度分布の算出が可能です。可視光域から近赤外域を計測波長としているため、ガラスなどの半透過物越しの温度計測が可能です。
2色法では、計測対象がどの黒体放射輝度曲線に該当するかを特定するために、特定の温度で選択した2つの波長における放射輝度を測定します。測定された放射輝度の比(輝度比)を算出して、標準黒体の輝度比と照らし合わせることで、対象物の温度を計算できます。
この輝度比は、2つの波長の放射率が等しい限り、物質、表面状態、距離、角度によって変化しないため、放射率の補正なしに高精度な温度計測を可能にしています。
実験環境
ステンレスの金属板半分に黒体スプレーを塗布。金属地肌とスプレーを塗布した部分をバーナーで加熱し温度を同時に計測します。
2色法による計測結果
一般的な放射温度計による計測結果
撮影協力:株式会社INUI様
物体にはそれぞれ放射率に固有の値があり、物質の表面状態、粗さ、色によって大きな違いがでます。一般的な放射温度計では、同じ物体が同じ温度だとしても計測結果に違いがでます。2色法の計測結果では、放射率が異なってもほぼ同じ温度として計測が可能です。
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2色法ではガラス越しの温度計測が可能
温度を計測する赤外線サーモグラフィは、主に波長8~14マイクロの赤外線領域の放射エネルギーを測定しています。この波長帯は、通常のガラス素材では透過しないため、ガラス越しの測定にはゲルマニウムなどの遠赤外線を透過する素材が必要になります。
一方で、2色法はガラスを透過する可視光~近赤外の波長で測定を行うため、通常のガラス素材でできた観測窓越しの計測が可能です。
Thermera-HSに適したハイスピードカメラ
カラーハイスピードカメラ撮影した画像から温度計測ができます。燃焼や爆発などの高速現象を可視化し、緻密な熱画像解析データを取得することが可能です。科学研究や工業分野において、現象の詳細な解析と理解を深めます。
※ハイスピードカメラの製品ラインナップ一覧➡こちらから
計測可能な温度範囲:1,000℃~1,800℃ または 1,300℃~2,500℃(※1)
※1 さらに高い温度の計測も可能ですが、精度保障対象外となります。
温度測定点:同時に最大18点指定可能。設定場所は画面上任意、温度履歴をCSV保存可能
2点間計測:任意2点間の温度勾配グラフを表示可能
出力フォーマット:CSV、BMP、TIFF、AVI
システム構成:Thermera KHSソフトウェア、ハイスピードカメラ、各種アクセサリ(※2)
※2 カメラレンズ、UV / IRカットフィルタ等
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