
溶接中のシールドガス・スパッタ・ヒュームを”見える化”
「溶接プロセス可視化システムShield View」は、従来困難とされていたシールドガス、スパッタ、ヒュームの観測を可能にし、溶接プロセスの理解と改善を新たな次元へと導きます。溶接のプロセスを可視化することで、品質の向上、コスト削減、効率化への新たな道を切り開きます。現場のニーズに即した溶接シーンの最適化は、ここから始まります。

CO2溶接

TIG溶接

MAG溶接
これまで困難だった可視化撮影を可能にする「溶接プロセス可視化システムShield View」は、溶接中のシールドガスの挙動をリアルタイムで観察し、乱れの様子を明らかにします。シュリーレン法を基盤にしたこのシステムは、シンプルな操作性を保ちつつ、強力なアーク光を遮断。シールドガスの働きを目に見える形で示します。
溶接中のシールドガスを可視化することは、ブローホールやスパッタの発生を抑制するための最適なガス流量を維持することが可能となります。コスト効率を考慮した最適化の検討に役立ちます。

【大型構造物の溶接におけるガス保護不良と再加工コスト】
重工業メーカーA社では、プラント配管・圧力容器・建設機械部材などの製造において、高品質なステンレスやインコネル材のTIG溶接を多用しています。
しかし、溶接対象が大型であるため、次のような課題が発生していました。
※品質保証部門では「再発防止策を立てるための根拠となるデータ」が求められており、現場では経験に頼らない”見える化”の必要性が高まっていました。
●風や気流の影響でシールドが乱れやすい
開放的な作業環境では外気や風の影響を受け、シールドガスの層が乱れやすい状況
●条件が作業者によってばらつき、酸化・ブローホールが発生する
トーチ角度やノズル位置、ガス流量などが作業者によって異なり、酸化やブローホールが発生
●補修溶接が多く、再加工コストが増大
欠陥補修や再溶接が頻発して、追加コストが増大
A社では、厚板ステンレス材の溶接を対象に、Shield Viewを用いて「屋内」「開放ヤード」「ドラフト付治具内」でのガス挙動を比較しました。
●アーク周辺の挙動を可視化
ハイスピードカメラによる撮影で、アーク周囲で発生する小さな渦の動きを確認
●ガス層の安定化条件を特定
ノズル角度と流量を最適化することで、ガス層が均一に形成され、アークが安定
●環境の差による品質のばらつきを低減
開放環境下でも風防や流量調整を行うことで、環境の違いによる品質のばらつきを縮小
【酸化による欠陥を低減、再加工コストの削減】
◇酸化・ブローホールの発生率を低減
シールドガスの流れが安定したことで、溶接表面の品質が向上
◇再溶接・補修工程を低減
欠陥発生率の低下により、作業工数と材料ロスが削減
◇溶接条件の標準化
可視化した映像を共有することで、熟練者と新人の条件設定のばらつきを軽減
「これまでは“風のせい”で済ませていた現象が、映像で根拠を持って説明できるようになりました。ガスがどう流れ、どこで乱れるのかを目で確認できるのは非常に大きい。Shield Viewは品質改善だけでなく、社内教育や顧客説明の場でも使えるツール」

レーザー溶接

強力な発光を取り除きスパッタ(ヒューム)の挙動を可視化
「溶接プロセス可視化システムShield View」は、レーザーや母材、アシストガスといった溶接条件から生じるスパッタ・ヒュームの挙動を可視化できます。レーザー溶接では、以下の要素が品質に影響を及ぼします。
これらの課題を克服するため、「溶接プロセス可視化システムShield View」は、アシストガスが引き起こすポロシティやブローホール、ヒュームやプルームの制御、さらにはスパッタの発生タイミングなど、溶接条件を細かく検証し品質向上に貢献します。
➡溶接中プロセス可視化システムShield Viewのカタログをダウンロードする

【高出力レーザー溶接に伴うプルームとスパッタの不安定挙動】
自動車メーカーB社では、電動化対応車両の生産ラインでバッテリー端子やモータ部品のレーザー溶接を採用しています。
高精度かつ高速な接合が可能な一方で、溶接工程にはいくつかの技術的課題が存在していました。
●出力条件のわずかなズレでスパッタが増加してしまう
レーザー出力や焦点位置のわずかなズレで、スパッタ発生量が変動し、溶接面への付着が増加
●プルームによってビームの透過率が低下してしまう
プルームが上昇してレーザービームの一部を遮断。照射エネルギーが不均一になり、溶け込み深さがばらつく
●異常が起きても原因を特定できない
溶接中の現象を可視化できなかったので、異常が起きても原因を特定できず、再溶接に至るケースが多い
B社では銅のレーザー溶接時に、アシストガス流量・レーザー出力・焦点位置をパラメータとして可視化試験を実施。その結果、以下のような知見が得られました。
●ガス流量の過多によるプルームの巻き込み現象を確認
ガス流量が多いと、溶融金属表面の蒸気流が乱れ、プルーム後方に巻き込まれて再付着する様子が映像で確認
●出力上昇によるスパッタ飛散の不安定化を発見
レーザー出力を高めた際には、スパッタの発生が多くなり、金属粒子の飛散方向が不規則になることが明らかに
●最適なアシストガス条件でプルームの影響を排除
アシストガスの流量と吹き付け角度を適切に設定することで、プルームの上昇を抑制
レーザービームの遮断を最小化に
【スパッタの発生を大幅に抑制、再溶接率が減少】
◇スパッタの発生を大幅に低減
レーザー出力条件とアシストガス流量を最適化することで、スパッタ発生量を大幅に低減
◇要因を特定して再溶接率が減少
溶接品質を乱す要因を特定し、条件を見直すことで再溶接の頻度が減少
◇ビーム透過効率が改善
プルームの遮断が改善され、レーザー光の透過効率が向上
「レーザー溶接は見た目では安定しているようでも、内部では蒸気流やスパッタ大きく動いています。Shield Viewを使うことで、これまで想像でしか語れなかった現象を可視化した映像をベースに説明できるようになりました。改善提案の説得力が増し、検証スピードがあがりました」

Shield Viewの設置イメージ

拡大イメージ
集塵ノズル、アシストガスノズル位置によって、ヒュームの集塵効果が変わります。「溶接可視化システムShield View」でヒューム自体を可視化することで、最適な配置とアシストガス流量を検証することができます。
事例では、アシスト位置・集塵位置を変えて可視化を行い、最適な条件と不良条件でワークの仕上がりを比較しています。
「スパッタ」は、レーザーによって溶融した金属から発生する数μの微細粒子のことです。金属表面に再付着し、加工品の品質を損ないます。また、作業中の飛散により人体への影響も懸念されます。
一方、「ヒューム」は、スパッタよりさらに小さく蒸気状になった粒子のことを指します。これらは周囲の大気を汚染し、長時間の”ばく露”が健康に悪影響を及ぼす可能性があります。また、切断においてはワークの加工部裏面に付着するスパッタやヒュームは、「ドロス」や「ノロ」と呼ばれます。これらも同様に、付着時には除去工程が必要となり、品質保持のための対策が欠かせません。
「スパッタ」と「ヒューム」の理解と対策は、作業者の健康と製品品質の維持に直結します。適切に管理することで、安全かつ高品質な溶接作業が可能となります。

溶接中

「Shield View」を設置

設置イメージ
溶接トーチを上図のように設置し撮影を行います。「溶接中プロセス可視化システム Shield View」は、強いアーク光を光学的に除去することで、通常のカメラでは観察できないシールドガスの流れ、スパッタの飛散、ヒュームの発生や拡散を鮮明に可視化します。
撮影には高感度のハイスピードカメラを用い、1秒間に数千〜数万枚の画像を取得。これにより、アーク近傍で発生する瞬間的な乱流や粒子挙動の変化を時系列で解析できます。シールドガスの巻き込みや噴流の偏り、スパッタの飛散方向、ヒュームの上昇経路など、プロセス中に生じる複雑な気流・粒子流動のメカニズムを定量的に把握することが可能です。

「溶接プロセス可視化システムShield View」を用いれば、最適なシールド効果を検証し、良好なアーク安定性を保った低スパッタのガス流量を評価することができます。
最適化されたガス流量は、アークの安定性を保ち、精度の高いスパッタ制御につながります。また、品質の高い溶接を実現し、コストも抑えることができます。

溶接作業の品質は、電流値、トーチ距離、そしてトーチの角度など、多数のパラメータに大きく依存します。これら要素のバランスが作業結果の品質を左右します。
①電流値が高くスパッタが発生している
②母材とトーチの距離・角度によりシールド安定性に影響する
「溶接プロセス可視化システムShield View」は、これらの要素を最適化するための強力なツールとなります。シールドガスを可視化することで、その効果の持続性が把握でき、溶接品質の一貫性が実現されます。

通常、生産効率を向上させるためには溶接速度を上げる必要がありますが、速度を上げるとシールドガスの流れが乱れ、溶接品質が低下する可能性があります。
「溶接プロセス可視化システムShield View」による溶接中シールドガスの可視化を行うことで、最適な溶接速度を見極め、生産効率を向上させながらも品質を確保することができます。
製造ラインにおける生産性と品質の双方を追及するための強力なツールとなり、より効果的で信頼性の高い溶接プロセスを実現することができます。

溶接時に発生するヒューム(溶融金属の微粒子煙)は、作業環境や外部空気への拡散を通じて、工場内外の環境汚染や作業者の健康に影響を及ぼす要因となります。
「Shield View」では、ヒュームがいつ、どの工程で、どの方向に発生・拡散しているかを映像として明確に捉えることができます。
これにより、集塵装置や換気システムの性能を定量的に評価し、排気位置・気流設計・シールドガス条件の最適化など、環境対策の有効性を検証可能です。また、作業者への曝露リスクを事前に把握し、防護具や作業手順の見直しなど安全対策として活用できます。
レーザー溶接中に発生するヒュームの挙動を可視化し、アシストガスとエアーナイフの条件を変えてその影響を比較しています。
TIG溶接中のシールドガスを可視化しました。アルゴンガスの挙動をハイスピードカメラで撮影したスーパースロー映像です。
TIG溶接中のシールドガスを可視化しました。アルゴンガスの挙動をハイスピードカメラで撮影したスーパースロー映像です。
集塵ノズル、アシストガスノズル位置によって、ヒュームの集塵効果が変わります。「溶接中プロセス可視化システムShield View」でヒューム自体を可視化することで、最適な配置とアシストガス流量を検証することができます。
事例では、アシスト位置・集塵位置を変えて可視化を行い、最適な条件と不良条件でワークの仕上がりを比較しています。

レーザーシート光源によるスパッタ可視化

画像処理でスパッタのみを抽出してカウント
ヒューム(プルーム)分析と並行して、溶接中に飛散するスパッタを時系列で定量的にカウントできます。
「溶接プロセス可視化システムShield View」により、溶接中のスパッタ(ドロス)をリアルタイムで可視化。得られた動画データを「動画画像処理ソフト KM 2.0」に取り込み、スパッタを自動ラベリングしてその数を精確にカウントします。
カウント結果は時系列グラフとして出力され、「スパッタの飛散映像」として出力できます。
溶接条件を変えて飛散量を比較することで、スパッタ(ドロス)の発生を最小化するための要因分析やプロセス改善に役立ちます。画像処理による定量化が、高度な溶接技術の開発と品質向上を力強く支援します。

溶接作業中に発生するプルームの挙動は、溶接品質に大きな影響を及ぼします。これまで難しかったその分析を、「溶接中プロセス可視化システムShield View」と「動画画像処理ソフトKM2.0」の組み合わせで実現しました。
可視化されたプルームを動画データとして取得。このデータをKM2.0に取り込むことで、一括で画像処理を行い、プルームの面積を詳細に算出できます。時系列で変化するプルームの面積はグラフ化され、直感的な分析が可能となります。

適正なヒュームの集塵

アシスト位置が加工点へ入っていない

アシスト流量が多すぎて集塵していない
「溶接プロセス可視化システムShield View」で撮影された画像は、PIV(Particle Image Velocimetry)による画像解析が可能です。取得した画像を「PIVソフトFlow Expert2D2C」へインポートし、速度ベクトルを算出。対象エリアの流れ場を詳細に把握することができます。
アシスト条件や集塵機条件によるスパッタ挙動の違いを数値化し、見かけ速度を算出することで、ヒュームの制御を画面の変化で都度判断するのではなく、誰でも理解しやすいベクトルマップで表現することが可能になります。

Shield Viewの外形寸法と観測エリア

観測エリアの中心点 床からの高さ
モデル | 観測有効径 | サイズ(W×D×H) | 観測エリアの長さ(W) | 重量 ※電源を除く |
|---|---|---|---|---|
Shield View | φ100mm | 500mm × 300mm × 319mm | 300mm | 約24kg |

ミラースタンド
対象物が有効観測範囲に収まらない場合、ミラースタンドが有効です。反射ミラーを取り外し、ミラースタンドへ取り付けて設置することで、自由に観測空間を拡張できます。

保護ガラス
光学系(ミラー・レンズ)をヒュームやスパッタから保護します。ガラス基板だけを交換できるため、メンテナンス性に優れた設計です。
※ホルダーは本体に付属します。

ハイスピードカメラ
アーク溶接を可視化して評価する場合には、5000fps~10000fpsの高速撮影が必要になります。溶接現場での雰囲気温度やノイズ環境に応じてご提案いたします。
お役立ち資料【プレゼンにも使える】
「溶接の可視化とは|溶接を可視化するメリットと必要なツールを解説」
「溶接を可視化する」とはどういう事か?何を可視化できる?など可視化の原理やメリット・必要なツールまで解説します。溶接の品質向上、コスト削減につながる”可視化技術”の概要をつかむのに最適です。資料をダウンロードする
お役立ち資料【プレゼンにも使える】
「溶接可視化:実践編|最適な溶接条件を最速で見つける!」
溶接可視化の実践編では、レーザー溶接を可視化した例を紹介します。溶接ヒュームの可視化を複数の条件で可視化を行い、最適な溶接条件を検討していきます。実際の現場で行った溶接可視化の事例を把握できます。...資料をダウンロードする
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ハイスピードカメラ-製品ラインナップ
ハイスピードカメラの製品ラインナップ一覧です。人間の目では捉えきれない高速現象を克明に可視化し、解析ソフトウェアを組み合わせることで、様々な物理現象を数値化。ハイスピードカメラは研究開発・生産分野の発展...「ハイスピードカメラ製品ラインナップ」詳細ページ
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☎0463-91-1281
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