
医療分野では、次々と新しい技術の開発や検証結果が示されており、そこにはエビデンスが求められます。その一環として、医療・医用工学分野では「可視化技術」への関心が高まっています。
など、医療の各分野で可視化技術が取り入れられています。本ページでは、カトウ光研の可視化技術による医療分野での実績と効果について、具体的な事例を基にご紹介いたします。
この動画では、医療分野での可視化事例をまとめて紹介します。PIV(粒子画像流速測定法)、シュリーレン法、DIC(デジタル画像相関法)を駆使して、医療の現場でどのように可視化が役立っているのかを具体的な事例で紹介しています。
撮影協力:東京大学 医用精密工学研究室 中川 桂一 先生
がん細胞破壊を目的とするPCND(phase change nano droplet)を気泡化させるための、衝撃波の伝播を可視化しています。実験では、薬剤(ドラッグデリバリーシステム:DDS)を用いたがん治療の検証を目的としています。
薬剤であるPCND(フェイズ・チェンジ・ナノドロップレット:音波感受性薬剤)へ衝撃波を伝播させ気泡化することで、がん細胞破壊を促進します。PCNDが気泡化するメカニズムを衝撃波の可視化によって検証します。
※動画のフルバージョンはこちらで公開しています。
システムシュリーレンSS series
”シュリーレン法の新基準”
システムシュリーレンSS seriesは、光軸調整の大幅な簡素化により、これまで手間が掛かっていたシュリーレン撮影が手軽に行えます。Wパス方式(観測空間に2回平行光が通過)によって微細な現象も高いレベルで可視化を実現します。コンパクトな筐体で省スペース設置が可能な点も魅力の一つ。スライド式光学系により観測空間の調整が自由自在で、研究に応じた最適な設定ができます…製品ページを見る
撮影協力:桐蔭横浜大学 医用工学部 臨床工学科 佐藤 敏夫 先生 山内 忍 先生
PIV(粒子画像流速測定法)を用いて、2種類のカテーテルで血流を再現した流体を解析した事例です。模擬血管内に配置したカテーテル脱血時の血流のダイナミクスを可視化。トレーサー粒子として蛍光粒子を使用しています。PIVによる血流の定量化を行いました。
PIVシステム2D2C(2次元2成分PIV)
非接触で2次元断面の速度(U,V)を算出
流速計では観測空間に接触して1点で1成分計測になるのに対し、PIVでは非接触で2次元断面のエリア2成分(X, Y)の速度評価を時系列で行うことができます。CW(連続発振)レーザーシート光源とハイスピードカメラを組み合わせることで、従来のダブルパルスレーザーによる構成よりも扱いやすく…製品ページを見る
撮影協力:桐蔭横浜大学 医用工学部 臨床工学科 佐藤 敏夫 先生 山内 忍 先生
人工透析の現場で血液の回路内における凝固過程を検証するため、エアトラップチャンバー内の流体解析をPIVで行った事例です。エアトラップチャンバーは、血液凝固の好発部位とされ、凝固が発生しにくい理想的なチャンバー形状を検証するための実験です。
内視鏡検査を行う際、内視鏡医と助手を保護するアクリルボックスを用意。エアロゾルの挙動を可視化して、ボックスの有り無しで比較をしています。
※患者から吐出される飛沫を再現するため、飛沫発生器を用いて秒速10m(咳の速度)で水滴を飛ばしています。

アクリルボックス

ボックス内で内視鏡検査を行う

嘔吐反射時の微粒子を可視化
消化器内視鏡診療では、エアロゾルによる感染症の拡大について国や厚労省の方針に基づき、対応が求められています。カトウ光研では、患者の咳やくしゃみから発生するエアロゾルを可視化する技術を提案しています。エアロゾルの挙動を直接見える化することで、医療従事者の感染リスクを検証することができます。
*A novel endoscopic shield: a barrier device to minimize virus transmission during endoscopy.*Ueyama H, Akazawa Y, Fujisawa T, Isayama H, Nagahara A. Endoscopy. 2022. 54(4):E129-E130. https://www.thieme-connect.de/products/ejournals/abstract/10.1055/a-1695-3080
*著者:順天堂大学 医学部 上山 浩也 先生*
微粒子可視化システムParticle Viewer PV2 series
0.1マイクロの微粒子まで可視化―― 異物の課題に挑む新たなソリューション
粒子の発塵から浮遊、堆積、再飛散までを可視化、清浄度改善の作業効率が大幅に上がります。赤色レーザー光源で、明るい環境でも粒子像を捉えて撮影が可能です。業界最小最軽量、高い可搬性でどこでも設置可能。異物が課題となる環境を改善につなげます…製品ページを見る
使用機材
嚥下は、生命維持にとても重要な機能です。食物を飲み込むだけでなく、誤嚥の原因や呼吸機能の低下などにも関係します。カトウ光研では、嚥下造影検査(VF)で取得されたX線動画データから運動解析による定量化を提案しています。嚥下時の舌骨や嚥下関連筋群、食塊の動きを定量化できる技術です。


舌骨は飲み込みをする運動に重要な器官です。男女差、加齢によって嚥下時の舌骨運動に違いが現れます。この動きをソフトウェアで解析することで嚥下動態を定量的に評価します。
運動解析(モーションキャプチャー)というアプローチにより、個々の患者の状態をより正確に把握し、定量的な評価から適切な治療方法を選択する一助となります。また、進行性の疾患の初期診断にも寄与し、早期治療の可能性を広げることが期待できます。
細胞の成長に影響を及ぼす酸素供給不足、強いせん断力。これらのストレスを軽減するためには、槽内の流れに乱れが少なく、滞留が無いことが重要です。カトウ光研のPIV(粒子画像流速測定法)技術では、計算通りの流動が実現されているか?画像と数値データから検証できます。

シャーレ(培養攪拌)

PIVで算出された速度ベクトル(速度分布)
細胞培養装置で”横運動” ”縦運動” ”円運動”の攪拌をPIVで計測しています。PIVでは、画像から非接触で粒子の運動を計測できます。映像では、PIVで速度ベクトルを算出してベクトルマップをプロットしています。攪拌の性能を定量的に評価できます。
使用機材
撮影協力:東海大学 工学部 医工学科 菊川 久夫 先生
デジタル画像相関法(DIC:Digital Image Correlation)は、画像から”ひずみ(Strain)”を算出できます。物理的な変位を正確に捉え、視覚化・定量化することができます。

シャーレ(培養攪拌)

PIVで算出された速度ベクトル(速度分布)
エコー検査(超音波診断)を活用し、手首の筋肉の動きを精密に撮影しました。手の開閉動作中の筋肉の変化を捉え、デジタル画像相関法(DIC)を用いて、筋肉の”ひずみ”を計測しています。
デジタル画像相関法ソフト DIC Dipp-Strain
面で捉える、材料のひずみ―― DICソフトウェア
DIC Dipp-Strainは、非接触で材料のひずみ(strain)を計測するDICソフトウェアです。特殊な光学系や光源を必要とせず、既存のカメラと連携可能。計測は海外製品と遜色ない高精度解析。直感的操作性と日本語表示で、わかりやすく手軽に解析できます…製品ページを見る
撮影協力:藤田医科大学 医学部 歯科・口腔外科講座 小林 義和 先生 金 珉廷 先生
実際の歯科治療を再現するため、医療用マネキンを使用しています。条件変えて吸引効果を比較しています。

歯科治療の環境

医療用マネキンとバキューム

飛散するミストを可視化
映像は、歯科治療中に飛散するミストの可視化実験です。エアータービンで歯を削る際に発生するミストは、医療従事者へ感染リスクをもたらします。飛散するミストは通常、バキュームを使用して吸引していきます。飛散するミストを可視化し、バキュームの効果を視覚的に検証できます。
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